W杯に関する記事は他のちゃんと書けるブロガーさんに任せて、自分は普通にW杯を楽しもうと思っておりました。・・・・が、さすがにスペインーオランダの試合を見て、一言でも書いておきたいと思い記事にしています。
世界に衝撃を与えた一戦の結果は?
スコアシート
スペイン 1 - 5 オランダ
27min:シャビ・アロンソ
44,72min:ロビン・ファン・ペルシ
53,80min:アリエン・ロッベン
64min:ステファン・デ・フライ
これが2014年ブラジルW杯史に残る一戦の流れ!
序盤の攻防
オランダは5バックでDFラインを埋め、バイタルをダブルボタンチで囲みました。NHK解説の小島さんも言っていましたが、その固めた状態でブロック守備をして耐えるというものではなく、ある程度ボールホルダーに喰いついて「奪い取る」ことを目的とした守備形態でした。
攻撃に関しては2トップのファン・ペルシとロッベンへ、奪ったボールをすばやく送り込むカウンター狙いです。いって見れば「アンチフットボール」の姿勢でもありました。それでも、前線の2人は世界最高峰のアタッカーだけに、まったく期待できない布陣でもありません。
一方、スペインはそんなオランダの守備戦術をものともせず、軽快なパス回しを披露し、イニエスタ中心にその埋め尽くされたDFラインの隙間にパスを通しオランダを脅かし続けました。
そんな状態は長く続かず、スルーパルでDFラインの裏に抜けペナルティエリアでシュートフェイントで切り返すと、振り切られたDFが足をかけてしまいPKを謙譲。27minに早くも均衡が破れました。
先制後の前半戦
スペインは先制点を奪ったことで、オランダの戦略を破壊したといえます。あとはいつものようにボールを回し、無理に攻め込まずに喰いついてきた際のほころびを確実に突いていくサッカーをするだけです。先制される前、そして先制された後もオランダの攻撃には鋭さを見せることはできませんでした。
期待すべき2トップはワイドに位置し、まるでウィングのようでした。なんとなく、0トップの2ウィングなんだな、とも感じるスタイルです。その二人はボールをもらおうとしますが、ロングボールは通らず、足元に受けてもバックパスが精一杯でした。
それなのにも関わらず、前半44分。左サイドのブリントがボールを受けるとアーリーぎみにファンペルシにクロスを送る。この瞬間はスペインのDFラインが崩れており、ファンペルシに完全に裏をとられて同点とされます。
衝撃の後半戦
後半の両チームに関して、様子見するまもなく再び左サイドのブリントからのクロスを、今度はロッベンが見事なトラップでDFを振り切り、まさかのオランダが勝ち越しを果たします。勝ち越しを許したスペインは一気にペドロ、Fトーレスの2枚変えで反撃を図る。その後、オランダにはラッキーな、スペインには不運なデフライのゴールが決まると、試合はここまでだった。
自滅のスペイン
交代ではいったFトーレス自体は予選で出場重ねていたわけでもなく、狙いの見えにくい交代ではあった。それでもディエゴコスタからトップをフレッシュにするという意味はあったのかもしれないが・・・・。解説の小島さんは「高さ」という武器を使うためと言っていたが、交代後のスペインにはその意図は感じられなかった。
反対に予選でも貢献したペドロに期待をかけたいところだったが、時間と共に「これがスペイン?」と思うようなサッカーとなり自慢の中盤がまったくボールを扱えなくなった。4点目を失いあわてて中盤にセスクファブレガスを投入するも、もはやいつものスペインではなくなっていた。
更に不運だったのが4失点目のカシージャスのミス。3失点でメンタルにも明らかにダメージを受けていたスペインが、キャプテンのミスでさらに失点を重ねたことで、チームとして完全に落ち着きをなくしてしまった。それでもカシージャスは何点分かは防いだが、ミスを帳消にすることはできなかった。
やりたい放題のオランダ
点差が開いたこともあり、終盤になるにつれてオランダのやりたい放題になった。もちろんこういった状況をチームと個の力で切り開いたので、与えられるべき報酬ではあるのだが、ファンペルシとロッベンのキレキレドリブルでスペインを翻弄する姿は痛快すら感じてしまう。
そんな中で冷静に交代カードを切ったファンハール監督。勝ち越してスグにきったカードは前半にイエローを受けていたデグズマン。更に4点目が決まるとイエローを受けているファンペルシ、デフライをベンチに下げさせた。いずれもファウルトラブルを未然に防ぐ冷静な交代だったといえるだろう。
次節に与える影響は?
オランダの課題
折角快勝したので、課題を指摘しても仕方ないが、ファンペルシ、デフライと攻守の要が1枚づつイエローカードをもらったことだ。オランダは次はオーストラリアで最後にチリ戦を残す。3試合目に万全の体制で望むためには不安の残るカードとなる。
全体的に好調だったチームだが、1点気になったのはスナイデルである。元々本調子ではないと聞いていたが、やはりかつてほどの輝きは見せられなかった。この試合のゴールラッシュにも今一つ乗りきれていなかったように見える。この先オランダが戦っていくには、真ん中のスナイデルの存在は大きい。果たしてどうなるだろうか?
スペインの課題
戦術的課題は詳しい人に任せておこう。
W杯レベルの戦いで例に出して申し訳ないが、少なくともエスパルスサポはここ数年、非常によく見た光景だった。単純に大量失点したという結果だけではない。
「意図のないボール回し」
「一発で振り切られる守備」
「覇気のない選手」
「監督の空回り」
エスパルスで何度も何度も見てきた姿が、まさか世界最強のスペインで見るとは思わなかった。一言で表現すれば「バラバラ」という有様。
Jリーグの解任前監督最後の試合を見ているような気分だった。もちろんW杯中に監督解任なんてある訳もないし、きっちり立て直してくると思いたいが、この試合で失ったのは勝ち点3どころの問題ではないと思う。